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ヒグマと人間とが良い関係を保てるために作られた施設。大雪高原温泉ヒグマ情報センター

ヒグマテーマの3日目です。

めったにないことですが、”ヒグマが人を襲った”、”ヒグマが市街地に出たので小学生が集団下校”というニュースを見聞きすることはあります。「注意!クマ目撃◎月/◎日」といった貼り紙を、酪農家の友達が暮らすエリアで見ることもあります。山麓地帯での農業・畜産被害は増える傾向にあります。

そうしたことが起きると、人間 vs.  ヒグマという対立の構造というか、「クマ怖い。クマが悪い」が当たり前の価値観になってしまいがちです。

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「高原沼巡りコースの周辺は、ヒグマの生息地なんだよ」と佐藤さんから聞いたとき、私はこの場所にいることさえも恐ろしくなりました。

ヒグマ情報センター、正式には大雪高原温泉ヒグマ情報センターは高原温泉の隣にあります。そんなこともあり、それほどクマの暮らす場所に近い場所だという認識が当時の私にはなかったのです。お恥ずかしい限り。

1994年に開設された高原温泉ヒグマ情報センターは、ヒグマが多い高原沼コースの利用者教育と、アクセス コントロール(入山規制)を兼ねる先駆的な試みを目的に設置されたのです。その大切な仕事を佐藤文彦さんの会社、風の便り工房が受けて運営していました。

佐藤さんは、「この情報センターは、ヒグマと人間とが良い関係を保てるために作られた施設なんだよ。登山道の巡視や管理、情報発信や啓蒙活動を行なうのが目的だから」と話してくださいました。

効率的に登山者の動線が設計されています。

正面入り口から入ってヒグマに関する展示を眺める。→名簿に記入し、安全レクチャーを受ける。→裏口側からコースに出られるというレイアウトです。

数人のスタッフが常駐し、早朝からコースを巡回し、安全を確認してからゲートを開けています。

 

突然の遭遇を避けヒグマとの事故を防いで共存していくためには、​ヒグマのことを知り、ルールを守って行動することが大切です。

①鈴や笛を鳴らし、自分の存在をヒグマに知らせること。休憩中にも時々鈴を鳴らして、ここに人間がいるよとアピールし続けることが大事です。沢沿いなどは、沢の音にけないくらいの大きな音を立てながらコースを歩かなくてはなりません。

②近い距離にヒグマが来たときには、その場を離れるようにする。毎シーズン、近い距離でヒグマに出会ってしまう登山者は2名程度だそうです。(もちろん年によって違いますが)人に近づいてくるヒグマは基本いません。私たち人間がヒグマの生活圏に入っていることを理解して登山しなくてはいけないということなんだと思います。

 

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「マナーとルールの低下が否めないんだ。悲しいでは済まないレベルなんだ」と高橋さんがおっしゃったことがあります。

具体的には、水場の使い方、ゴミの処理、山小屋内での宿泊スペースの占拠、テントの張り方、常識はずれな排便場所、高山植物の盗掘など唖然・愕然とするものがあったようです。

 

ヒグマが暮らすこの生態系が50年後も100年後もずっと続いていけるように、非力ではありますが、努力していきたいと思います。

 

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