GO TOキャンペーンだから「旅」を考える その19 奇跡の朝食(スペイン・グランホテル ドミネ ビルバオ)
「あのね、5つ星ホテルでもやっぱり一番格上のホテルに泊まらなきゃ。せっかくビルバオに行くんだから、グランホテル ドミネ ビルバオ以外はダメよ」。
こう私を説得してくれたのは、2019年の1月末に熊本で初めてお会いした美しくて知的な九州のソムリエ協会幹部の女性だった。
大好きな熊本・阿蘇の別荘に招待してくれた友達に加え、経営者やクリエーターの素敵女性に囲まれた私は、そのソムリエ女史の良い意味での推しの強さに「わかりました」と従うしかありませんでした。
あと1週間ほどで泊まる、つまり直前だったため1泊2万5千円のホテルに2泊予約しました。当初予約していたホテルは4か月前予約だったので、5つ星でしたが1泊12000円だったので、ちょっとお財布が辛かったのですが…。
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このホテルチェンジが、私に大きなプレゼントをくれました。多分2度と出会えないであろう素敵な方との朝食時のおしゃべり。3つ星レストラン「アスルメンディ」のエネコ・アチャオーナーシェフからのシャンパンプレンゼントにつながりました。
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最上階のレストランは確か朝7時がオープンでした。ヨーロッパの冬の朝は遅いので、まだ暗かったことを覚えています。オープン早々に入るのはカッコ悪いかな?と思って、私はおなかが空いていましたが、7時30分にレストランに向かいました。
でも、一番乗りでした。そして一番奥の窓際に案内されました。
担当のマリナは、とても明るくて私が食いしん坊と気が付いて、色々と進めてくれました。朝ご飯なのに夜のフルコースかというほど…。時間にして1時間ぐらいずっと横にいて、卵料理ならこれを食べてほしい、デザートの果物は今日はこれが美味しいとささやきます。(彼女の素晴らしいサービスについてはいつかしっかり書きます)
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2番目のお客様は日本人の男性に見えました。
一つあけたテーブルにお一人で座り、クロワッサンとコーヒ―を注文されました。私にはたくさんあれやこれやと勧めたマリナは、すっかりおとなしい感じです。
やっぱり、常連さんと初めての私は違うんだなと思って何となくお隣さんを眺めていました。
「あ!山本益博さんだ」と私は気が付いてしまいました。
「おもいッきりイイ!テレビ」等で美味しいものをよりおいしく食べる作法を伝授されていた。お寿司や蕎麦の食べ方が印象的でした。そして、世界中を旅している方という憧れの存在でした。
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お一人だし、お食事終わったようだから、思い切ってご挨拶してみようかな?有名人にサインをもらったり、お写真撮ってくださいなんて絶対言えない私でしたが、なぜか行ってみようという気持ちになりました。
スペインだった、一人だった、おなかがいっぱいで幸せだったからかもしれません。
そーっと回り込んで「山本益博先生ですか」と声を掛けました。
「そうですよ」。
そして、予想外な一言が「良かったらお座りになりませんか」
えー?いいのですか?
すぐに座りました。
「お一人ですか?」と聞かれたので、あと2日後に北海道から来る仲間と合流しますと回答。
「北海道の人?」「はい」
「僕、高校と予備校は札幌だったんだよ」
「え、そうなんですか?」
「日本でだったら、こうして初めての人と同じテーブルで話すことはまずないけど、スペインだからね。仲間のシェフたちが夕べ飲みすぎてまだ来ないんだよね」
「で、ビルバオやサンセバスチャンではどこに食べに行くの?昨日の朝に出会っていたら、夕べ一緒に食べに行ったのに残念だね」
「明後日のランチにアスルメンディに行きます」と伝えると、「僕たちは今日行くよ。エネコに伝えておくから」
慌てた私は「滝川のレストランオーナー中村さんが予約してくれました」と話しました。
20分ぐらいお話をしたのですが、緊張してこのくらいしか記憶にありません。
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そして、2日後アスルメンディへ。
突発的なトラブルがあって、1時間30分ぐらい予約時間より遅れてしまいました。途中で連絡しながらではありましたが。
「もう駄目だよね、でもキャンセル料だけでも支払おうね」と、恐る恐る仲間4人でお店に入ると、マネージャーが笑顔で待っていてくれました。そして「KEIKOは君か。MASUHIROから聞いているよ」とウィンクしてくれました。
その後、素晴らしい演出と、お酒とお料理とのペアリングに酔いしれました。
エネコが私たちのテーブルにやって来て、少しだけお話をしたり一緒に写真を撮ってくれました。
その時にも「MASUHIROは僕の先生なんだ。大切な人」とおっしゃっていました。
信頼できる方に勧められたホテルに泊まったから。早朝にゆっくりお食事をしたから。山本益博さんに勇気を出してお話をしたから。
夢のようなことが起きました。今日は私の誕生日なので、思いっきり自慢を書かせていただきました。
ありがたい、すごい思い出です。ラッキーでした。