世代間コミュニケーションギャップ その4 相手の状況を理解して言葉を発する
異なる世代とよりよいコミュニケーションを行う際には、「相手のペースに合わせつつ、自分が伝えたいことを伝える」ようにするのが大事です。
「合わせる」と言っても、相手に従うということではありません。
中国の故事に「人を射んとせば、まず馬から射よ」というものがります。これは、「まず、その人間に通ずるようなところから始めよ」という意味です。
最初から直球で攻めてしまい、相手に拒否されてしまっては、コミュニケーションが成り立たない。それでは意味がないので、まず相手の状況や価値観に合わせて話を始め、それから自分の考えにリードしていくということです。これは職場でも同じです。
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例えば、部下がスケジュール通りに仕事をしてくれないとき
「おい、納期はいつだと思っているんだ! オレが若いとき、納期が遅れたら先輩からこっぴどくしかられたものだぞ。反省の態度もなくて。これだから最近の若いヤツはダメなんだよ」のように伝えたら、もうおしまいです。
どんな世代であっても、やる気を失ってしまうか、聞く耳を閉ざされてしまう可能性大です。
こういう一方的な言い方をされると、部下はきっとこう思います。
「こんな無茶な納期、最初から出来るわけないってわからないんですかね。○○さんはいつも仕事を押し付けるだけなんですから…」。
そこで、部下に「合わせる」を意識してみます。部下がどういう状況にあるかを考え合わせてから、自分の意見を言うようにするのです。
「こう忙しいと、納期を守るのもなかなか厳しいよね。だけど、これを乗り越えたらA君はすごく成長できると思うよ。納期までに終わらせるようにもう一度スケジュール組みなおそう」などのように、まず、自分は、A君の今の状況を理解しているよと共感の姿勢を伝えます。
もちろん、部下も変わる必要があります。今の例で考えてみましょう。
上司に「合わせる」を意識してみます。上司がどういう状況にあるかを考え、寄り添ってから自分の意見を言うようにするのです。
「お忙しそうな課長に、新たな悩みをお伝えするのは心苦しいのですが、お時間3分いいですか。実は納期について相談があるのですが、○○の納期が○○のために遅れそうなんです。そこで…」などのようにです。
互いに相手を尊重しながら、今目の前の問題を解決するために歩み寄るという姿勢が見える対話になります。