世代間コミュニケーションギャップ その6 言い出せないタイプの新人(実話)
実話 エクセル経験がなかった新人の3時間の苦悩
若手が上司の状況を見過ぎて、質問のタイミングを逸しとんでもない事態に陥った事例が身近にありました。
新入社員に課長が朝の九時に「この100人分のアンケート、エクセルに入力して。打つだけでいいから」と依頼しました。
新人君は、パソコンには向かっていました。課長は自分の仕事に集中して、途中の声掛けはせず12時になりました。
課長「どこまで入力できた?わからないことあった?」
新人「あの、エクセルに触ったことがないんですけど」
課長「は?なんで頼まれたときに言わないの、聞きに来ないの」
新人「課長がお忙しそうで、声をかけると悪いと思ったから」
この課長は、私の親しい友人でした。
ワード、エクセルは出来るのが当たり前と思っていたそうです。大学でレポート作成で当然使っていると思っていたのです。
課長以外にも周りにはA君に教えてくれる先輩は数人いました。なぜエクセルを扱えなかった新人君は、誰にも質問せずに3時間何をやっていたのか、ある意味こちらがポカーンとなったそうです。
A君は検索で「エクセル攻略法」などを出力して読んでみたそうですが、どうにもこうにも入力までには至らなかったそうです。
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でも、この課長はえらい。「自分に余裕がないことを新人に見抜かれた」と、反省していました。目配りと自分の余裕が足りなかったと学んだのです。
A君には「質問してほしかった。君が入力することがチームとして彼に求めたことだよ」と説明。
彼は「課長や自分の周りの上司の仕事を止めることの方がいけないことだと感じた」と、顔を真っ赤にして話したそうです。
A君は、その日の午後に、自分が出来るパソコン操作を課長に報告したそうです。
エクセルの達人の商業高校出身の先輩女性が1時間かけて、指導し夕方までになんとか入力が出来るレベルまでになりました。
- 相手が「そう考える背景」に思いをはせること
- 「本来の目的」「共通の目的」を考えることを身に着けてもらうよう指導する
これが世代間ギャップを縮め、よりよい職場を作っていくポイントではないでしょうか。
新人の頃、スパルタ教育を受けた私は先輩にこう言われました。「質問するときにはメモを取る」「同じ質問は2度まで」。この指導法は今の時代でも通用するように思っています。